自己愛性人格障害の行動原理
自己愛性人格障害はいくつか種類がありますが、
・社会的に成功を収め、他者の反応を気にせず自己満足に走るタイプ
・自己無価値感が根底にあるが、現状を変えず他者を消費する事で自尊心を保つタイプ
数が多いと思われるのがこの2つ。
特に後者が一般的に「自己愛性人格障害」という言葉が指すものではないでしょうか。
また、類するものに境界性人格障害、強迫性人格障害というものも存在しています。
(併発も珍しくない)
今回は自己無価値感が根底にあるタイプについて触れていきます。
歪んだ自己防衛本能
自分にとって都合が悪い事に対して、能動的な対策を練る事をしません。
責任転嫁や、嘘、記憶の塗り替えなど自己正当化を駆使し、悪い現状が良いものであると思い込もうとしたり、自分以外に何らかの原因があって仕方が無いものであると正当化します。
その発言は客観的に見て非常に苦しいものであっても、彼らの中では成立させます。
そして、間違っている事を指摘しても絶対認めませんし、典拠を示し、正解を提示すると、発言した事自体をなかった事にします。
また、自分に原因があると発言する場合がありますが、他者に迷惑をかけた直接的な原因ではなく、卑屈な物言いで同情と関心を引く手段に使うため、見当違いな理由を付けます。
子どもが成長する過程でなら上記の行動は珍しい事ではありません。
・A君が誘ってきたから宿題が出来ませんでした。
・お母さんを手伝っていたので出来ませんでした(あわよくば褒めて欲しい)。
・腕が昨日は痛かったので、今日なら出来ます。
・宿題を隠されました。
etc…
自己愛性人格障害はここから抜け出る事が出来ていません。
ここから抜け出るために必要なものは「自己承認」です。
現状を受け入れ正確に自己を認識し、必要であれば努力を、無謀であれば足るを知り、適切な行動を行うのが普通の大人であれば可能です。
言うなれば「身の丈に合った」行動です。
彼らはどんな小さなことであっても、現状を受け入れるという事が出来ません。
間に合わせの回避行動の積み重ねで、脆弱な自尊心を支えています。
そして自分が悪くない事を取り繕い周囲を味方に付けるのが病的に上手いです。
深く関わりさえしなければ人当たりが良く要領も良く、何でも出来る印象が強いからです。優秀な人間がデカイ声を挙げれば耳を傾けてしまうのが、世の常です。
改善要求をしても、その行動に対し「我儘」というレッテルを張り、
黙らせようとします。
これが自己愛性人格障害が改善されない最大の原因です。
特に20代を越えているとまともな人の声を払い除けて
来ている可能性が高いので、要求を通すのはとても難しいです。
他者から言われた悪口をこちらに愚痴として報告して来る場合もあります。
それを否定して貰う事で自尊心を保つのですが、その内容は
「ロボットのようだ」「心がない」「旧友に知らない人のふりをされた」
など言われたり、やられて当然の内容だったりします。
言葉や行動にされるのはよっぽどの事であり、
態度や発言で通じず、「こういう人間にならやられても仕方ない」
という諦めが見て取れます。
しかしこれを指摘しようものなら怒りを買うのは当然であり、
どうにもなりません。
ターゲット
自分より優れている人は、ステータスとして付き合うのでターゲットになりません。
また、低過ぎる人は話題として消費され、見えない所でバッシングする事はあっても、直接話しかける事は、少なく、ターゲットになりにくいです。
ターゲット対象に選ぶのは高過ぎず低過ぎず、自分と同等くらいで張り合いのある人物です。
特定の分野に秀でていて、人から一目置かれているような人物であれば尚更。
そして面倒見がよく優しい人で、他者を見捨てることに対して強烈な罪悪感を感じる人だとパーフェクトです。
さらにスルースキルが乏しく負けず嫌いで、相手が面倒な人物であっても構ってしまうのなら最高に好都合です。
ターゲットにしたら何かと張り合って来ます。同じタイミングで喋ったり、SNSで投稿したり、同じ趣味を持とうとします。これはまだ素直でいいですが、他人の趣味を罵倒したりする事もあります。
(あくまでもターゲットの趣味である事が大事なので、他の人が同じ趣味だとしても何も言わないばかりか褒めたりする。)
そしてスケープゴートとして一番の責任転嫁先として消費されます。
大人であればこの様な行動は寒く、白い目で見られます。しかし高校生など子どもだと、自己愛性人格障害はカーストでも上に君臨する事が多く、ターゲットにされれば非常に肩身の狭い思いをする事になります。
周りに相談しようとしても噂を流されていたり、評判がいい人がそんな事をするはずがないと言われたり、前述したように抗議の声を挙げることに対する「我儘」のレッテルを張られ、自分が正しい事が信じられなくなる状態に追い込まれます。
対処法としてとにかく状況証拠を残してください。
(スクリーンショットなど)
精神的に追い込まれる材料になりかねないのですが、自分を信じる為に
あった事実が嘘ではない事を確認出来るものが必要です。
価値基準
自分自身の中に明確な価値基準がありません。漠然とした自己無価値感があり、
常に他者と比較したり、一般論的な成功に拘っています。人が楽しそうにしていたりすると、
焦りを感じます。
その割には何か努力をするというでもなく、その場しのぎで良くない現状を正当化したり、嘘を付いたり、他人を下げる事で現状を変えずにとても脆弱な自尊心を保ちます。
自己愛性人格障害の人がfacebookなどのSNSがを使うと自慢大会になってしまうのはこれが原因です。
明確な幸せに対する価値基準がない為、記号的に幸せとされるものを集め他者に共有します。過程としてなら自然であり、通常そこから自分自身の大切にしているものを見つけますが、自己愛性人格障害はそれをせず、ただただ、比較をしたがります。自己承認がいつまでも出来ず、他者承認で補い続けます。
その為付き合いやSNSの投稿が空疎なものになります。
友達とはしゃいだり、余韻を楽しむ為に、投稿するのではなく、他者からどう思われるか、反応目当てな投稿になります。
「楽しい」から遊ぶのではなく、「友達と一緒にいる自分」が目的といった感じです。
そこまでならまだいいのですが、他者と比較した上で他者承認が多く得られないと不安に駆られ嫉妬が始まります。張り合って来る為、非常に話しかけ辛い状態に進行して行きます。
非常に演技臭い言動が多くとても目立ちます。人を動かす為に結構な量の独り言を言います。所謂構ってちゃんなのですが、声をかけられる事で、周りに人がいるという事を記号的に確認して幸せである事を認識しようとします。
ex:
・なぜか一緒にいる人間の肩書を全て書く
・写真を投稿する際、感想そのものが希薄。撮影対象がどうかより、共感や写真を褒めてもらう事が目的に。
・最近遊んでないし、〜さんに声をかけようかなーなど本人に直接言わず独り言を言ったり、とにかく演技臭い言動が目立つ。
自分で自分の号外を撒くような感じです。
これがまた、反応乞食なものが多く、見ているとエネルギーをごっそり持っていかれます。
また、価値基準を外に求める為、流行や自己啓発に感化され易い特徴もあります。これもまたその場しのぎで行う為、発言がコロコロ変わります。そして3ヶ月前に徹底的に叩いていたジャンルにハマったりしますが、叩いていた事実はなかった事にします。